こんにちは、年内の法人申告が全て完了する目途が立った税理士の磯谷です。
今年も駆け抜けた感はあります。ひとまず、温泉探してます。
ところで今日は、源泉徴収について。
そのうち、「動画撮影して、自社ホームページに掲載・配信するのを個人のフリーランスに外注した場合は、支払い側に源泉徴収義務があるのか?」です。
かなりピンポイントですが、事例があったので備忘録的に書いておきます。
※なお、あくまで事例でして、いかなる場合にも結果を保証するものではございません。
※写真:息子愛用「ディーゼル」
報酬・料金等の源泉徴収とは
まず、基本から入ります。
源泉徴収といったら、まずはサラリーマンの給与明細で毎月天引きされるイメージが浮かびます。
※この暫定的に天引きされた源泉税を、毎年12月に年収が確定した時点で精算するのが「年末調整」です。
この源泉税は、給与以外にも、例えば個人のフリーランスなどに払う報酬なんかも、源泉税の天引き対象になったりするのです。
このうち、「報酬のうち、どんな支払い内容だったら源泉徴収の対象になるのか?」
というのが、ものすごく細かく決められていて、わかりづらいわけです。
これについては、所得税法第204条第1項各号に、種類別に規定されていますのでご参照ください。
例えば、原稿料、デザイン料、写真の報酬、著作権使用料、専門家報酬、診療報酬、プロスポーツ選手報酬、などなどたくさん。
これらは、「限定列挙」といって、これに明記されていないものに対する支払いは、基本的には源泉徴収の義務は無いとされています。
所得税法第204条第1項第5号に基づき検証
で、今回は、「動画撮影をして自社ホームページに掲載する場合の、個人フリーランスに対する外注支払いが源泉徴収の対象になるのか」という、わりとピンポイントな話です。
動画の素材は依頼主の会社が購入なり用意して、それらを使って動画作成とHPへのアップロードを委託します。
これについては、限定列挙である法204条第1項には、どこにも明記がありません。
但し、似たような例示はあるのです。
例えば、これ
雑誌、広告その他の印刷物に掲載するための写真の報酬・料金
~国税庁HP 法204条第1項第1号「写真の報酬」~
ただしこれは、「印刷物」というのと「写真の報酬」という例示なので、該当せず。
次に、これ
映画、演劇その他芸能又はラジオ放送やテレビジョン放送の出演や演出又は企画の報酬・料金
~国税庁HP 法204条第1項第5号~
なんか、撮影系だから怪しい。
でもこれは映画やテレビ放送に関するもののイメージがあり、該当しないかと。
その他、条文を確認しましたが、それにピタッと該当するものは見当たらず。
なので、「源泉徴収は必要なし」と当初判断しました。
不安だったから税務署に聞いてみた
でも、今回は念のためというか、何か気がかりだったので税務署に聞くことにしました。
源泉徴収は、徴収義務は支払う側にあるので、これを安易に判断するとクライアントがリスクを負うことになるし、ウチとクライアントのためにも、慎重にやっておきたかったからです。
※こういう直感的な不安は大事にしたいものです。
すると回答としては、「源泉徴収は必要」とのことでした。
根拠としては、先述の「映画、演劇その他芸能又はラジオ放送やテレビジョン放送の出演や演出又は企画の報酬・料金」に該当するそうな。
えー!あ、やっぱり?って思ったけれども。
なんか今は「動画の掲載・インターネット配信」もその中に含まれるとのことで、動画云々の明記はないものの、このカテゴリーに該当するので源泉徴収してください、とのことでした。
あ、あぶねえ!
聞いといてよかった。
まあ、デザイン料なんかも「ウェブデザイン」は明記されていないけど、源泉の対象になるので、それと似たようなもんなのだろうか。
今でこそネットやIT技術が進んでいますが、この法律が当時の古いままなので、新手の事象に追っついてないんでしょうね。
迷うから、たのむから、改正してくれ。
まとめ
ということで、動画の掲載やネット配信の報酬は、「源泉徴収が必要」との結論となりました。
一応、国税の見解として受けているので、今回の事例についてはそれで従いますが、あくまでも参考事例です。
解釈の違いや、置かれた条件、シチュエーションによっては、結果や判断は当然に変わってくると思うので、参考程度に、話半分に聞いて頂ければ幸いに候。
編集後記
息子(1)が少しずつ単語?みたいなのが増えてきた。
自分の名前を理解したようで、自分を指さして「おれ、〇〇!」みたいに言う。
「おれはグルート」みたいなノリで、なんかうれしい。