社宅に付随する駐車場は会社負担にできるか?

税金の話

こんにちは、税理士の磯谷です。

 

ところで、法人名義で社宅を借り上げて役員や従業員に貸すと大きな節税効果が見込めます。

いわゆる「社宅の利用による節税スキーム」です。

 

~参考記事~

 

よくあるケースとして、社宅契約に付随して「駐車場を借りる場合」があります。

 

今回は、社宅の節税スキームの細かい論点として、「社宅に付随した駐車場契約は法人経費にできるか?」という論点ついて整理したいと思います。

 

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原則として法人経費にならない

結論としては、社宅に付随して駐車場を法人名義で契約しても、その利用料は法人の経費にできません。

 

社宅の節税スキームの対象は、あくまで「住宅」に適用されるのであって、「駐車場」は該当しないためです。

~住宅の範囲~(国税庁HP タックスアンサーNo.6226「住宅の貸付」)

”住宅とは、人の居住の用に供する家屋または家屋のうち人の居住の用に供する部分をいい、一戸建ての住宅のほか、マンション、アパート、社宅、寮、貸間等が含まれます。”

 

よって、社宅と同じように法人名義で契約して、利用料の一部を役員や従業員に個人負担させる形をとったとしても、法人経費にはできません。

 

なお、役員や従業員としては、法人に負担してもらっている金額相当は「給与課税」されます。

 

したがって、社宅に付随して駐車場を契約する場合は、以下の対応が考えられます。

 

①法人名義で契約 → 法人で一旦支払い、個人から全額徴収する(立替処理も可)

②個人名義で契約 → そもそも個人的に契約してもらい、法人は関与しない

 

 

経費にできる場合もある

例外的に、社宅に付随する駐車場に関しても、法人負担にできるケースもあります。

 

それは「駐車場代が、家賃に含まれているとき」です。

 

つまり、駐車場が社宅の節税スキームの対象となる「住宅」に含めて考えて良いケースがあり、その場合は法人経費としてOKということです。

 

以下の要件を満たす場合は、その駐車場も「住宅」に含めて取り扱います。

 

~住宅の範囲~(国税庁HP タックスアンサーNo.6226「住宅の貸付」)

A 一戸当たり1台分以上の駐車スペースが確保されており、かつ、自動車の保有の有無にかかわらず割り当てられている等の場合

B 家賃とは別に駐車場使用料等を収受していない場合

 

契約内容として、上記のようなケースに該当する場合は、駐車場に関する部分も法人負担でOKということになります。

 

社用車の場合は経費にできる?

上記の解説は、社宅の節税スキームの対象範囲として、駐車場も含まれるか?という話でした。

 

では、その駐車場を使う車が「社用車(=法人名義)」の場合はどうでしょうか?

 

その場合は、原則として駐車場の利用料は法人負担で問題ないと考えられます。

 

ただし、社宅に付随して契約した駐車場に社用車を置く理由や、事業としての使用実態があることが前提条件として必要だと思います。

 

こういった契約モノは、契約主体などの形式面も重要ですが、そもそもの経費性という意味では事業としての利用実態が必要ですので、この辺りは当該論点に限らず、普遍的なテーマともいえるかと思います。

 

まとめ

社宅の節税スキームは、法人であれば利用メリットが非常に大きいものですが、今回の駐車場のように、細かい論点は色々あります。

 

この辺りの話は会社に限らず、役員や従業員などにも利害関係として直接関わってくる論点となりますので、ご注意ください。

 

参考になれば幸いです。

磯谷雄大(いそやたかひろ)
書いている人
磯谷 雄大

公認会計士・税理士。
松戸市在住の37歳。
公認会計士として14年、税理士として10年経過。
主に「設立+創業融資+税務」に特化して創業初期に悩むお客様をサポートしています。
現在は「一人で自由に生きる税理士」として活動中。
事業を継続するため、健康を保つために「筋トレ+サウナ」を習慣としています。
あと、よく木更津で釣りしてます。

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