金融教育&キャリアデザイン講演会を母校の高校でしてきた話

独立

こんにちは、公認会計士・税理士の磯谷です。

 

先日(2023年11月)、母校の千葉県立小金高等学校で「高校生のための金融教育&キャリアデザイン講演会」の講師をしてきました。

 

政府が以前、「老後2,000万貯蓄問題」や「投資の積極活用」などを提起したことも関係するのか、「お金」の知識をもっと早くから身に付けようという流れがあり、高校でも2022年から、家庭科の授業で金融教育を導入しています。

 

金融教育というのは、例えば「家計(収支管理)」、「資産形成(投資)」、「借入・金融トラブル対策」などの切り口で、貯蓄や運用などの考え方、金利やクレジットカード、リボ払いなどのリスクについて学んだりするそうです。

 

成人年齢が18歳になり、クレジットカードの作成を高校生が自分でやれたり、親の同意なしに賃貸契約が出来るようになったことによるリスクも踏まえてのことかと思われます。

 

ただ、そういった話を家庭科の先生がいきなり授業で教えるというのはハードルが高く、とりあえず導入初期は外部の専門家などに派遣依頼して講演会という形で実施する、という感じの模様。

 

また、金融教育と併せて、キャリアデザインに関するテーマを組み合わせる形で今回講演をしました。

 

千葉県教育庁の主宰ですが、日本公認会計士協会千葉会とコラボする形でご依頼を頂きました。

 

小金高校の1年生合計320名及び先生&保護者様を対象に、千葉日報にも記事を掲載頂くような形で実施させて頂きました。

 

スポンサーリンク

高校の金融教育&キャリアデザイン

講演のテーマは「自律的なキャリアデザインと金融知識-金融と世の中の仕組みを自分事として考える-」です。

 

今回は日本公認会計士協会千葉会との連携のため、講演の前半は公認会計士の職業紹介をしました。

 

公認会計士というと、医師や弁護士など違って個人ベースで接する機会がほとんどなく、高校生の皆さんもあまりご存じない様子。

 

これは想定内だったので、代表的な仕事の「監査」「コンサルティング」「税務」の3つを紹介し、仕事の魅力を出来るだけ伝えてみました。

 

監査の紹介が結構難しかったのですが、金融教育の一環として、会社や株式市場の仕組みを簡単に説明しつつ、株主や証券市場を守るための仕事みたいな流れで説明してみました。

 

後半は、「お金」の話。

 

「皆さんはお金は好きですか?」の問いに反応。

明らかに前半の会計士の話より興味ありげで、食い入るように聞いてくれる生徒さんも。

 

金融教育といっても、いきなり金利とか72の法則とか話してもピンと来ないし、なおかつ資産形成をテーマに株でお金を増やす方法とかから入るのは、先生も親御さんもいますし、投資話みたいになってミスリードするのも困るので、今回は入門として「収支管理」について語りました。

 

普段の生活から収入、支出、貯蓄の要素に分けて、どの考えが計画的に貯蓄しやすいかといった内容から。

 

例えば

 

①収入-支出=貯蓄

②収入-貯蓄=支出

 

どちらが貯蓄しやすいか?

という問題を出したり。

 

これは天引きの発想で予め貯蓄をとっておき、残ったお金で支出をやりくりするという意味で②が望ましい、という展開なのですが、なぜ全然貯金が出来ないのかわかった!といった感想を後日生徒さんから頂きました。

(これは時間も同じです。やるべき物事の時間を予め天引きしておき、それ以外でスケジュールを立てるのと同じ)

 

ただ、①や②だと、結局自分はいくら収入があれば良いか分からず不安、ということに。

 

ここからさらに展開して

 

③支出+貯蓄=収入

 

という考えを提案しました。

 

これは、まず生活するための支出項目とコストをリストアップして、それに貯蓄したい金額を乗せた金額を算出する。

その水準に達する収入があれば、とりあえずは生きていけるという発想。

 

そこから先は働いても良いし、別のことに時間を使っても良くて、とにかく自分の生活が成立するためには月々いくら必要なのかということをハッキリさせるのが、お金の不安を取り除くコツだと説明しました。

 

これは実は会社も同じで、会社の経営計画(予算)を立てるときは、まず①経費(原価、人件費、固定費など)を積み上げる→②必要な利益を積み上げる→③なら売上予算はいくらになる、といった感じで、経費をペイして利益を出すために必要な売上目標というのは最後に決まります

 

なので、本来は収入ありきで色々考えたりするのは、いつまで経ってもお金の不安は無くならないと思っています。

 

個人の日々の収支管理も、会社の予算計画も、本質は同じなんです。

 

ちなみに自分は、毎月の支出項目と金額、それに対して必要となる売上を管理する1年間の月次推移表をExcelで作成しているので、「来月はいくらの売上が必要」とか「今月はこんなスポット支出がある」とか「今年は最終的にいくらお金が増える」などのシミュレーションを毎日確認しています。

 

このあたりを、会計士っぽい要素を混ぜつつ話した感じです。

 

最後に、キャリアデザインの話。

 

これはもうシンプルで、「学歴や職歴など社会的地位をデザインする」ことではなくて、「どんな人生を描きたいかをデザインする」という視点で考えてほしいと要望。

 

キャリアっていうと仕事とかのイメージを持つけど、それは人生のほんの一部で、自分の価値観に基づいてやりたいことを実現して欲しい、という話。

 

重視する価値観や趣味があれば、それを実現するためにどうすれば良いかを考える。

 

もちろん価値観として仕事を重視したいのであればとことんやれば良いし、それとも他の経験や趣味に価値観があれば、働くのは先述の生活が成立する水準まで働き、あとは自由に時間を使うでも良し。

 

また、働き方として「雇用か独立か」という視点での考え方も話しました。

自分の価値観に基づいて考えたときに、雇用か独立か、自分にとっての価値観を実現するためにはどちらが自分にとって向いているか?ということや、ライフスタイルに合わせた働き方の選択肢として考えてみて欲しいとアドバイス。

 

最後に、高校生の皆さんには、これから大学受験とか就活とか大きな「よくある流れ」に乗っていくかも知れないけれど、惰性ではなく、何を自分は大事にしていきたいか、ということを常に考えること。

 

また、自分主体でやりたいことを実現して生きていくのは楽しい反面、そのぶん難しさもあり、自分に強力なツールや強みが必要となるため、とにかく今は基礎的な勉強を通じて、何か一つだけで良いので技術や実力を磨き続けることを勧めました。

(自分にも言い聞かせながら)

 

生徒は320名いたので、興味の有る人、無い人、またメッセージの受け取り方は色々だと思いますが、講演の終了後、校長室で校長先生や会計士協会千葉会の会長と談笑していたら、男子生徒が質問に来てくれました。

 

講演が色々新鮮な話だったようで、真剣に質問しに来てくれた男子生徒に、なんだか希望を感じました。

 

小金高校の後輩たちが、高校のスローガンである「自主自律」を備えて、将来自由に楽しく生きて行けるようになってくれるのを願います。

 

規模感がある講演だったので準備とか色々大変だったけど、母校に恩返しが少しは出来たし、たまには地域活動も良いなと思った日でした。

 

磯谷雄大(いそやたかひろ)
書いている人
磯谷 雄大

公認会計士・税理士。
松戸市在住の37歳。
公認会計士として14年、税理士として10年経過。
主に「設立+創業融資+税務」に特化して創業初期に悩むお客様をサポートしています。
現在は「一人で自由に生きる税理士」として活動中。
事業を継続するため、健康を保つために「筋トレ+サウナ」を習慣としています。
あと、よく木更津で釣りしてます。

磯谷 雄大をフォローする
独立自由な生き方
スポンサーリンク
磯谷 雄大をフォローする
フリートーク
タイトルとURLをコピーしました