売上目標・利益目標の考え方~自分のミニマムライフコストを知る~

自由な生き方

よく経営では「売上目標」や「利益目標」などといった言葉を使います。

年度はじめに考える事業計画や予算策定のとき、途中で補正予算を組むときなどに出てきたりします。

上場会社やある程度一定規模の会社においては、決算短信などによって目標売上や目標利益が株主や取引先など外部の目にさらされたりするし、利害関係など事情も絡みますので、なかなか意図するところが見えづらい要素があったりします。

それはさておき(これ以上触れません)

とりわけ、ひとり社長の会社や個人事業主の場合は、よくわからずヘタに目標などを立てると自分が苦しくなっているケースがあります。

「数字の目標」は、その意味を自分なりに設定しておく必要があります。

また、自分(=経営者)の時間やプライベートにも密接に絡んできます。

「自分がなりたい状態」を着地点として、考えていくべきものだと思っています。

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目標数値の意味を考える

今年は売上目標1億!とか具体的な数字や

売上前期比150%!とか具体的な比率など

目標を立てるときに良く考えます。

売上が最も分かりやすいので売上目標を立てるケースは多いのではないでしょうか?

利益も同様です。

指標は何でも良いのですが、多くの場合、目標を立てる時は前提として「過去実績よりもっと大きく」などのように「今よりもっと」という思考が働きます。

これは、過去よりも数字が小さくなることは減退や失敗をイメージするからだと思います。

私も独立当初はそういう考えに近い思考回路でした。

単純に、売上〇〇万とか、前年比120%とか考えてましたし、何件増加とか件数を意識していた時期もありました。

最初は、どんどん数字を大きくして成長していくイメージ図として目標数値を思い描くものです。

でもよく考えてみると、自分の場合は、この「倍々計画」めいた右肩あがりの目標は、次第にあまり意味を持たなくなりました。

より大きな数字を追いかけることを望む方はそれはそれで正しいのかも知れませんが、私の場合は、数字を追いかけることで色々歪みが出てきたからです。

目標数値の束縛感~仕事とプライベートの両面で~

時間を犠牲にする

数字を追いかけようとすると、何も考えずにやると仕事量が増えます。

これにより、既存業務ばかりに時間を割くことになり、新しい事業のアイデアを考えたり試行錯誤する将来の時間投資や、自分のプライベートの時間が削がれていきました。

これは単純に時間とお金を機械的に交換しているような錯覚を覚えて一時期相当凹みました。

ランチェスター経営などは「成功するには働く量(時間)を圧倒的にこなす」という発想がありますが、それともまた違う、何かあまり「生産性のない」時間ばかりが犠牲になっていく感覚です。

さらには、数字を追いかけるばかりにいわゆる「合わないお客」などの依頼も片っ端から受けてしまうようでは更に始末が悪いです。

これでは、自由に時間をコントロールして仕事するために独立したはずが、ただの「時間に追われるだけのしょうもないやつ」で終わると思いました。

単純に数字を追いかけだすと、自分の時間が無くなります。

固定費(生活コスト)が上がる

目標数値を大きくして追いかけ回すと、それを実現するためのコストも大きくなる傾向にあります。

例えば、複数案件をこなすために雇用したり、外注を増やしたり、その他なんちゃらかんちゃら。

また、生活面でも、生活コストが上昇すると元に戻すことは難しいです。

それを維持するために、収入を今よりもっともっと欲しくなるため、さらにコストも上がっていく。

こんなインフレ祭りになると、もはや身軽でなくなります。

<図>

こんなふうに、ラットレースのごとき不自由感満載のスパイラルに陥ります。

このようなインフレ祭りのどんちゃん騒ぎに加わると、例えば雇用が増えてその給与をまかなうために効率や割の悪い案件や客層からも仕事を獲得する動きになったりして、「おれは一体何(誰)のために働いているのか?」と仕事のクオリティやモチベーションに影響したり、生活コストを下げられないゆえの変なプレッシャーも出てきます。

自分のミニマムライフコストを基準に考える

ではいかにして目標を立てるか。

ひとり社長や個人事業主の場合は、最初から変に憧れの売上数値から入るとおかしくなってきますので、まずは「自分の最低限生きていくためのコスト」をスタートの基準にするのが有効かと思います。

これは、とりあえず普通に生きていくために必要な要素とそれにかかる最低限のコストを洗い出して把握するものです。

それを満たす収入水準を理解していれば、それを達するための行動に引き直すことができます。

これをすると、「この収入まではどうにかして確保すべき水準」までは効率的・戦略的に思考が働きますし、「必要水準を超える部分」に対しては、わざわざ無理したり色々犠牲にしてまで取りに行くべきところではないので、無理に人を雇ったりして仕事を増やすよりも、冷静に物事を判断できるようになります。

欲しければプラスアルファでやればいいし、要らなければスルーして遊べばいいです。

また逆にいうと、「生きていくために最低限必要なコスト水準」を常に把握しておくことは、いざというときに攻めるべき、人生的に大きな決断をする際に役立つのではなかろうか。

いまやっていいものか。。?という漠然とした不安やフワフワした状態では、お金の有効な遣い方はできません。仕事もプライベートも、勝負事の見極めが鈍ります。

さらに、ミニマムライフコストを意識しておくことは、自分の自由な時間を確保することにもつながります。

生きていくために必要な収入がわかっていれば、必要ない仕事の判断ができるので、ストレスを感じながら無駄な時間を過ごす必要もないからです。

結論

無用に数値目標を立てると、仕事もプライベートも「固定費(生活コスト)を維持するために売上(収入)を増やし続ける」という無理がたたる状況に陥る可能性があるので、これは避けたいです。

しかも、根拠が微妙な数字だけの目標だと、仮に達成できなかったときに無駄にメンタルがゆらぎます。

これは望んでおらず。独立してからの方がモチベーション下がったら、それこそしょうもない。

まずは「最低限のコスト(ミニマムコスト)を知って、それに収入を合わせる」という感じにするのが自由な生き方につながりそうな気がしております。

仕事の量と質の確保→自由な時間の確保という流れも、相性が良さそうなんじゃないかなと思います。

編集後記

次女(3)のツンデレに拍車がかかっています。

食事のときに「どう、おいしい?」と聞いたら「パパがおいしい?って聞かないときはおいしい」という始末。真顔。なんかよくわかんないけどうれしい。

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磯谷雄大(いそやたかひろ)
書いている人
磯谷 雄大

公認会計士・税理士。
松戸市在住の38歳。
公認会計士として14年、税理士として10年経過。
個人事業・中小企業の税務サポートと融資支援が得意。
現在は「一人で自由に生きる税理士」として活動中。
事業を継続するため、健康を保つために「筋トレ+サウナ」を習慣としています。
あと、よく木更津で釣りしてます。

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