ワーケーションの経費は落ちるのか

仕事・独立

こんにちは、サウナ税理士の磯谷です。

 

いま新しい働き方として「ワーケーション」というものが注目されています。

 

2020年から起こった新型コロナウイルスの環境下において、政府や企業もリモートワークにシフトするよう推進していますが、これに関連して出てきたやつです。

 

このワーケーションに関する支出は、経費になるのか?

 

少し考えたいと思います。

 

スポンサーリンク

そもそもワーケーションって何ですかね

まずは「ワーケーション」の基本情報から。

ワーケーションは、「ワーク」「バケーション」を合体させた造語ですね。

つまり

 

「働きながらバケーションを楽しむ」

 

ということかと思います。読んで字の如し。

 

コロナ禍において(特に緊急事態宣言下では)外出自粛要請が出されたため、今まで当たり前のように出勤していたのをやめて、自宅などで仕事をする「リモートワーク」が世間で始まりました。

 

この結果、会社に行かないでも「どこでも仕事が出来る」という状況を利用して、

 

ならいっそ、リゾート地などで休暇をしながら仕事したらええやん

 

という流れで出来たのが、「ワーケーション」かと思います。

 

ワーケーションの支出は経費になるのか?

このワーケーション、やるとしたら当然いろんな経費がかかります。

 

たとえば

①旅費(移動費、宿泊費)

②滞在費(現地の食事やアクティビティ)

③通信費(wifiなど)

 

このような支出は経費で落とせるのでしょうか?

 

そもそも論に基づく結論

先に結論を言いたいので言いますが

 

「事業に直接関連すると合理的に説明可能なら経費」

 

ここで判断すればいいと思います。

 

例えば通信費としてwifiなどの利用料があると思いますが、これがないと遠隔で仕事出来ないのなら、業務実施に直接必要なものなので、経費でいいと思います。

 

というか、リモートワークとかワーケーションとか関係なく、事業に直接関連して必要な支出なら、どれも全部経費です。

 

こういった新手のパターンや、新しい形態の商取引などがが出てきたときは、常に原理原則に立ち返るべきだと思います。

 

ついつい枝葉の論点に目が行きがちで、たしかに枝葉のほうが話が盛り上がるのですが、そんな時こそ原則に立ち返ってみた方が納得できる結論が出せると思います。

 

旅費や現地滞在費はどうなのか

とはいっても、そもそもワーケーションから始まった話なので、枝葉にも触れるとするか。

 

ワーケーションで一番費用が掛かるのは、おそらく旅費や滞在費関係かと思います。

 

・移動費(新幹線、車、飛行機)

・宿泊費

・現地の飲食

 

など。

この辺りを落とせるのか?というのが、関心高いのではないでしょうか?

 

これらは、経費として全部落としたいところでしょうけど、

 

ワーケーションという前提で考えるなら、基本的には経費にするのは難しい

 

と思っています。個人的見解ですが。

 

理由はこうです。

 

「そこに行って仕事をしなければならない必然性が無いから」

 

どういうことかというと、その仕事を遂行するにあたって、例えば軽井沢のリゾート地やバリ島の水上コテージとかでしなければ成立しないのか?

 

という感じで考えると、「別にそんな必要はないけど。。」となります。

 

なら、経費は難しいというスタンスです。

 

海外出張の規定は使えないのか

海外渡航費の税法の規定とは(簡潔に)

ところで、海外出張費に関する税法の規定があったりします。

※「海外渡航費の取扱いについて(法令解釈通達)」というやつです。

 

これは、海外出張に行くとき、せっかくだから観光などもする場合がよくあるので

(僕もアメリカ、中国など海外出張していましたが、観光は必ず行程に組んでました。ていうか当たり前。海外業務って結果をシビアに求められるから、それが無いとやってられない)

 

「視察等(=業務を行った工数)」と「観光(=業務以外の工数)」の割合(「業務従事割合」といいますをもとに旅費をどれくらい経費に落とせるか?を決めるための指針です。

 

つまり仕事した割合を算出して、その度合いによって経費にする範囲を決めようとするものです。

 

具体的には

①業務従事割合が90%以上→旅費+現地費の全額を経費とする

②業務従事割合が10%以下→旅費+現地費の全額が経費にならない

③業務従事割合が50%以上→往復の旅費は全額経費+現地費は業務従事割合分だけ経費

こんな感じで出したりします。

これって、「仕事」と「遊び」が混ざっているため、何かしらの方法で区分して処理しようとする考え方なので

 

「あれ、ワーケーションにも応用できるんじゃね。。?」

 

一見、そう考えられなくもないと思います。

 

でもダメだと思う

でもダメかと。

 

この規定は使えないんじゃないかな、と思います。

 

先述したように、「ワーケーションという前提なら」です。

 

海外渡航費の規定の前提は、「そこに行かないと仕事が成立しない」ことを前提としています。

 

海外子会社の視察や、現地取引先との交渉など、現地でないとそもそも仕事できないから行くわけです。

 

なので、たしかに海外渡航も「仕事」と「遊び」が混ざっている状況とも言えますが、海外出張の場合は「そこに行かないと仕事がそもそも出来ない」という「現地に行くことの必然性」があることが大前提にあります。

 

ワーケーションは、「そこに行かなくてはならない必然性」が説明できない以上は、この前提から先に話を進めることが出来ないと思うのです。

 

あれこれ経費にできるかどうかを個別に検証する前段階で、既に最初からダメというイメージです。

 

考察まとめ

ワーケーションに関する旅費などの支出は

・直接業務で使用した支出である

・その現地に行くことに合理性がある

 

最低限、この2点を説明できないと、経費化するのは難しいのではと思います。

 

上述のように、こういった新しい事象が出てきたときには、原理原則に立ち返って

 

「そもそも論で考える」

 

ことが大事だと思います。

 

個別の状況下に応じて、合理的に説明できれば経費にすれば良いと思います。

 

※あくまで上記は私見です。ワーケーションに関する処理について国税庁から見解が公表されたら、それに従いましょう。

 

個人的な感想

ただ、このワーケーションとかリモートワーク、個人的には「良い傾向だなあ」と思います。

 

見方によっては。

 

というのは、リモートワークによって

「とりあえず会社に行かなければならない風」に思われていた常識が、コロナというイレギュラーがきっかけとはいえ、「別に行かなくても出来るじゃん」と徐々に気付いてきたことは良い兆候だと思うからです。

 

会社に行かないと始まらないというのは、物理的な制約を課すことになるので、時間的にも働く選択肢が限定されます。

 

以前ブログでも述べた「複業」とか、「どこでも仕事が出来る環境」とか、そういうことがスタンダードに向かっていくような気配を感じています。

 

 

ワーケーションだって、別に経費にならなくたってやればいいんです。

楽しいから。

 

オフィスに毎日いたりすると、物理的に固定されますが、ついでに思考も固まります。

 

海とか違う街とかに行って、環境を変えるだけでもだいぶ非日常の刺激になります。

 

そういう刺激を意図的に自分に与えて、アイデアを創出したり、リフレッシュに役立てることは、無駄ではないと思うんです。

 

僕もコロナになる前は沖縄に長期滞在して遊びながら仕事したりしましたが、これまでの仕事のやり方などを改める良い機会になりました。

(宿泊費とかは泣きながら経費にしませんでした)

 

経費にならないならそれはそれで諦めて、ワーケーションを通じて新しい価値とか創るキッカケになれば、巡り巡って収入増になって楽しいと思います。

 

一方で、リモートは査定や評価、時間管理が難しいといわれますが

 

そもそもリモートに適合しやすいホワイトカラーは、時間で評価されるものではないので、見当違いな気がします。

 

成果で評価する方向性になっていくといいかなと。

 

リモートなら筋トレできるし。

 

 

 

磯谷雄大(いそやたかひろ)
書いている人
磯谷 雄大

公認会計士・税理士。
松戸市在住の38歳。
公認会計士として14年、税理士として10年経過。
個人事業・中小企業の税務サポートと融資支援が得意。
現在は「一人で自由に生きる税理士」として活動中。
事業を継続するため、健康を保つために「筋トレ+サウナ」を習慣としています。
あと、よく木更津で釣りしてます。

磯谷 雄大をフォローする
仕事・独立自由な生き方
スポンサーリンク
磯谷 雄大をフォローする
タイトルとURLをコピーしました