公認会計士と税理士の違い(試験と独立)

資格の話

公認会計士と税理士、どちらも会計系の国家資格です。

業界に関係する方はその資格の違いがわかるかも知れませんが、世間的には良くわからない(または興味が無い)ことが多いです。

良い機会なので、2つの職業の違い(主に試験や仕事内容について)を自分なりに書いてみようかと思います。

長くなりそうですが、ひとまず書けるとこまで書いてみます。

ぶっちゃけ、公認会計士は、世間的には税理士よりも知名度が全然低いです。

特に個人レベルでいうと公認会計士をご存じの方は限られているんじゃないかと。

これは仕事のフィールドが税理士と異なっている(相手とするクライアント、業務がその個人にもたらす直接的な影響度)からという理由が大きいと思うのですが、まあ税理士の方が全然有名です。

「税理士と会計士の違いって何ですか?」って言われることがあるのですが、最初は真面目に考えて色々工夫して答えてましたが、最近はもう「まぁだいたい同じようなもんですよ」と答える始末。

※写真は、右が税理士バッジ、左が公認会計士バッジ。

税理士バッジは税務調査とかで使いますが、会計士バッジは生涯一度も使用したシーンがありません。本当にまじで使わないです。

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資格をとるまでの道のり

結論、両方とも試験に受かれば、なれます。

細かいこというと、免除されるケースとか考えると色んなパターンがあります。

それぞれ、受験資格~試験~登録までのステップがあります。

受験資格

公認会計士

受験資格は、ないです。

年齢、性別、国籍、取得資格、学歴問わず、誰でも受けられます。

つまり人間ならOKです。小学生でもおじいちゃんでも受けられます。

※実際、短答式試験のとき、私の通路挟んで隣におじいちゃんが受験してたのを覚えています。

その方は、そろばん使ってました。

税理士

税理士の受験資格は以下の4カテゴリーのうち、どれか1つを満たせばOKです。(一部略)

■「学識」

・大卒で、法律学や経済学に属する科目を1科目以上履修している者

・司法試験に合格している者、公認会計士短答式試験に合格している者 など

■「資格」

・簿記1級を取得している者

■「職歴」

・税理士、弁護士、公認会計士などの業務を補助する業務を通算2年以上経験

■「認定」

・国税審議会が個別に受験資格ありと認定した者。

下にいくにつれて小難しくなってきます。

だいたい、大卒か簿記1級の要件で受ける人が多いんじゃないでしょうか。

受験資格があるって、結構ハードル高いですよね。

試験について

公認会計士

公認会計士試験は、計3回の筆記試験があります。

場合によっては免除制度があるものの、基本的には試験を受けないとなれません。

公認会計士試験は、以下の流れで進みます。

この①~⑤のステップを全てクリアして、晴れて公認会計士と名乗れます。

このうち、一般に公認会計士試験の修羅場は①と②です

この①と②さえクリアすれば、最後はだいたいみんな会計士になれます。

①の一次試験(短答式試験)は、マークシート方式です。

分からない問題は、とりあえず「鉛筆ころがして出た目をマークする」こともできます。

試験科目は、次のとおりです。4科目。

■ 財務会計論(2h)

■ 管理会計論(1h)

■ 監査論(1h)

■ 企業法(1h)

これを1日ぶっ通しで行います。

私が受けた時は年1回でしたが(5月)、その次の年度からは年2回(5月、12月)になってます。

※ひと昔前の短答式試験は、上記4科目を全50問3時間でやる一発勝負の試験でした。

このときは、「どの科目をどれくらいの時間内で終わらせて進むか、または見切りをつけるか」というある意味戦略重視の試験だったようです。

この短答式試験、受かると2年間免除になります。

試験の合格基準は、「4科目の総点が概ね70%以上」です。率は、合格者の調整があるので年によって微妙に変わることがあります。

 

短答式試験に受かると、次に②の二次試験(論文式試験)に進みます。

これは完全なる筆記試験です。運の要素ひとつも無し。鉛筆ころがしても無駄です。

8月の日程で3日連続で行われます。

試験科目は、次のとおりです。計5科目。

<必須科目>

■ 会計学(5h)

■ 監査論(2h)

■ 租税法(2h)

■ 企業法(2h)

<選択科目>※1科目選択

■ 経営学(2h)

■ 経済学(2h)

■ 統計学(2h)

■ 民法(2h)

これを、3日連続で行います。

これが公認会計士試験の中で一番の難関ではないでしょうか。

特に会計学の5h(財務会計論3h+管理会計論2h)は本当にキツイです。

これ1科目で丸1日使います。

僕はこの日に限り、頭使いすぎて体重減りました。

全体的な特徴としては、理論問題は暗記系もある程度ありますが、ほぼ「思考を問われる」問題となります。

どちらかというと、暗記より自分の言葉で作文しても主旨さえ正しければOKです。

これが、自分としては助かった。暗記は苦手ではないけれど、昔から「それそのまま聞いてどうすんだよ」という根本的な納得が出来ないタイプなので。

また、論文式という名ですが、小論文のような大それたものを作るのではなく、問いに対して数行の文章で答える(または金額を計算して答える)というある意味ごく一般的な方式です。

※ただし企業法や民法とかの法律系は、まさに論文っぽく膨大な文字を書きます。

※ちなみに企業法というのは会社法、旧商法、金融商品取引法です。

 

合格基準は「5科目の総点の概ね52%を超えていること」です。

偏差値を使うので、例えば超難問が出て、仮に自分ひとりだけそれを正解しても合否に何の影響もないでしょう。

むしろ、みんなが正解するであろう問題を取りこぼすと、即、死に直結する感じです。

基本的な問題を堅実に拾っていくスタンスで臨むべき試験といえます。

また、論文式試験は科目免除制度があります

各科目に合格水準があって、それをクリアすると科目合格がもらえます。

これも、短答式と同じく2年間免除です。

なので、例えば「短答式の2年免除の間に論文式の科目免除までもらったはいいけど、そうこうしている間に短答式が復活して論文のあの科目だけは免除」みたいな無限ループにハマる人も中にはいるとか。

そう考えると、会計士試験はほぼ「一発で受かれ」といっているような試験かと。

※かくいう私は2008年に短答式合格→同年論文式で「企業法」「租税法」の科目合格→翌2009年に論文式残り3科目合格して二次試験を突破しました。

2009年は残り3科目の総合正答率で合否が決まるので、逆に得意科目が既に終わっている状況で考えると科目免除って意外に使いにくいとも言えるな、と当時思いました。

 

論文式試験を通過すると、あとは④の三次試験(修了考査)があります。

ここまで来る時にはいったん就職して既に実務をしたりしているのですが、この修了考査は「実務色が強い」試験です。

監査現場の事例を用いて、「こんなときどうするぅ?」みたいな問いがあったりします。これも思考重視な感じです。

科目は以下のとおり。計5科目です。

■ 会計に関する理論及び実務(3h)

■ 監査に関する理論及び実務(3h)

■ 税に関する理論及び実務(3h)

■ 経営に関する理論及び実務(2h)

■ 公認会計士の業務に関する法規及び職業倫理(1h)

個人的には、試験内容自体は人生で一番の難易度超絶MAXでしたが(特に会計)、合格率は通例だと約70%ぐらいあります。

なので、普通に実務経験を積んで、勉強すればだいたいパスできた試験です。

が、H30年の試験だけは、なんと50%台だったようです。多数の死者が出た模様。合掌。

これは過去に会計士の数が増えすぎて質が落ちたのか(今後の数を絞るのか)、試験が難しすぎて足切りを食らった人が多いのか知りませんが、このパーセンテージは衝撃でした。

(よかったぁ、70%のときで)

 

この三次試験を無事に合格すると、あとは公認会計士登録するだけです。

制度が将来変わらない限り、もう一生試験はありません。

税理士

税理士試験は、以下のうち5科目を合格する必要があります。

※は必修

<会計学に属する科目>

■ 簿記論 ※

■ 財務諸表論 ※

<税に属する科目>

■ 所得税法 or 法人税法 ※

■ 相続税法

■ 消費税法

■ 酒税法

■ 国税徴収法

■ 住民税

■ 事業税

■ 固定資産税

会計2科目+所得税法or法人税法+残り2科目」の計5科目合格でクリアです。

自分はぶっちゃけ税理士試験は未経験なのでアレですが、自分が税法受けるとしたら法人税+所得税+相続税かなあ。相当厳しい道のりだと思いますが。

会計学2科目は、管理会計は含まれて無いっぽいですね。仕事の目的の違いでしょうか。

 

試験時間は、3日間の日程で各2hですね。これも長丁場です。

合格率は、各科目の満点の60%です。

2018年の最終合格率は、2.1%とのこと。すっげぇなぁ。。

税理士試験の最大の特徴は、「科目合格制度」でしょう。

これは各科目ずつ、合否が判定されるもので、合格すれば一生有効です。

なので、戦略的に「今年は2科目だけ」とかプランを立てて臨めるので、社会人の方なども比較的受けやすい試験かと思います。

会計士試験は、上述のとおり、なんだかんだで「ほぼ1回か2回で受かれ」という短期決戦的なシステムですが、税理士試験は、「1年1科目で5年計画で」とかできます。

ただ、私の周辺もいるし、ネットとかでも見ますが、「残り1科目の状態から〇年かかった」みたいな話もよく聞きます。

これは残りのプレッシャーが半端なかったり、途中で税理士事務所とかに入って実務経験を積みがてらやってたら勉強出来なくなった、いつの間にか数年経ってた、やる気なくなった、みたいな状況に陥るパターンが多いのでしょうか。

(私の知人で、残り1科目の状態で税理士事務所に入所して、残りを取るのに10年ぐらいかかった人がいます。)

 

また、税理士試験には科目合格のほかに、「そもそも試験の一部または全部を免除されるケースもあります。

私のように公認会計士あがりの人間や弁護士なんかは、登録すれば税理士になれたりします。

また、(ざっくり書きますが)「大学院を出ると税法2科目免除」とか、税務署で十数年勤務すると試験自体を免除されたりとかします(後者の影響で、税理士の平均年齢が60歳台とか何だとかいわれたりします)。

税理士って特殊だと思うのですが、このようにいわゆる「試験組」以外にも資格が得られるルートがいくつかあります。

こう考えると、税理士を名乗るなら普通に試験をパスするのが問答無用であるべき姿なのかと思います。

ただ、私自身が別ルートなので。。別に楽してきたわけでは全然ないですが。

(一応、税理士科目ってどれくらいの深さなのかを知るために法人税法・所得税法・消費税法・相続税法はヤフオクでTACのDVD講座を落として一通り勉強したり、いろいろ研究しました。試験はスルーしましたが。監査法人の中に既に税理士もしている先輩がいたり、国税庁OBのスゴイ方とかいらっしゃったのも大変勉強になりました)

まあ、法律で決められた資格の取り方なので、あとは本人が実務で世の役に立つ人材であれば、何ら問題ないかと思います。そう思って自分にプレッシャーかけてます。

税理士登録したあの頃の記憶

今でも覚えてるのですが、僕は公認会計士登録すると同時に税理士登録も申請したのですが、それが2014年頃で当時は税理士業界で「公認会計士が税理士登録できるの反対!!」みたいな運動が異常に活発だったんです。

会計士協会の専門誌とかでも結構話題になってたし、意見交換とかもしてました。

(弁護士の税理士登録反対!というのは全くなかったですね。いやしかし)

なんか「税法をかたわらでしかやっていないのに、税理士登録できるのはどうか」みたいな風潮でした。

たぶん、ただでさえ税理士の数が増えてきているのに、試験以外のルートでどさっと増えるのはもう無理みたいな感じだったのでしょう。

最たる要因は税務署あがりのOBたちの数だろうがよぉ、〇〇が!とは別に思いません。

結果的に、無条件登録ではなく、一定の税に関する研修が必要みたいな要件がつきましたが。

(ほとんど影響ないのですが)

でも、会計士って大多数の人が大手監査法人というところに所属しているのですが、その人たちは自主規制で税理士登録が禁止されていたりします(多分独立性とか職業的な問題)。

なので、私みたいな中小監査法人出身とかの零細のごとき人間しか影響ないのですが(私以外に該当する方申し訳ございません)、やたらプレッシャーがありました。

そんな感じだったので、「僕は大丈夫ですよ!迷惑かけません!」と今後の税理士としても生きていく決意表明をしたく、気合を入れたのですが、ふと気づいたら千葉県税理士会本部に申請書を出すときには「グリーンデイの黒ライブTシャツ+ジーンズのハーパン+ビーサン」でホイっと出してました。

(決して業界の雰囲気に対して反発したわけではないのです。ただ単にグリーンデイが好きなのと、季節が夏だったからだけなのです。ちゃんとやる気はあります。あと、監査法人が休みの時に出しにいったので、休みの日だし封筒出すだけのためにスーツ着るのも面倒だなあ、と思っただけです。)

税理士になる一歩を踏み出した当時は、結構風当たり強かったなあ。。

頑張らねば、と真面目に思った時でもありました。

試験後の進路について(独立含め)

いかん、脱線した

というわけで、税理士試験を見事パスした方や別ルートの方が税理士になる資格を有するわけですが、そのうち、試験の方は2年間の実務経験が必要となります。

ここは公認会計士も同じです。2年。

(ただ、会計士は会計士協会主宰の研修制度を最大3年履修しないといけないので、実質、論文式試験後から会計士登録するまでには3年かかります)

実務経験を積む場としては、多くの方が税理士事務所とか税理士法人に就職して、実務経験や事務所スケジュールとかノウハウを学ぶようです。

ちなみに私は会計士として監査法人にずっといたので、税理士事務所の勤務経験がほぼゼロです。

なので、監査中にクライアントの法人税申告書などは散々見てましたが(あくまでチェックするという立場で)、実際に「申告書を自分で作って申告する」という経験は完璧にゼロでした。

(正確にいうと、監査法人のトップが運営している税理士事務所に、2事業年度のうち数日ずつだけ、個人の確定申告や年末調整を手伝ったことがあるぐらいです。その時点で、税理士事務所の雰囲気・仕事の仕方とか、「こういう感じなんだなあ」というのは一瞬だけ触れました。

また、税法を全くノータッチというわけではなく、法人・所得・消費税は会計士試験で基礎はあるし監査現場で見ているので、「初めて作る」といっても中小零細の法人税申告で普通のやつなら何とかできます。今はもう全然大丈夫。むしろ自分の署名で申告する真のプレッシャーというのは独立しないと経験出来ないんじゃないのかなあ。)

同時に、私は税理士事務所の年間スケジュールとかの常識や固定観念を全く持っていない人間です。

この辺は別途、書こうかなとは思いますが、別に税理士事務所の経験が無くても、基礎さえあれば何とかなります。あとは踏み出す勇気でございます。

独立した後に必要なスキルと勤務時代のスキルは、別物ということを諸先輩方から聞いてましたし、何となくわかっていたので。

「資格があるならさっさと独立してしまえ」と思って勢いで登録した次第です。子供いたけど。

顧客もコネも金も何も無かったけど。「人生は壮大な実験」。僕が好きな本田直之さんのお言葉。

なので、会計士で独立を迷っている人とか、税理士試験合格と実務経験を満たした方で独立を少しでも希望している方は、早く独立してしまった方が良いという風に思います。

絶対、独立が早い方がその後のキャリア年数が多くなって経営者として有利だし、早い方が何かあってもダメージ少ないし、何より「独立って自由」だし。

でもあとはタイプの問題ですね。正解はないので。

資格があってその道に興味があるのにどこかに留まっているというのは、もったいないんじゃないのかな、と思ったりします。人生一回だけど、やり直し(コンテニュー)は最悪、何回かはできます。

※これをサッと踏み出せた理由は、当時監査法人にちょっと工数を割けたので会計士の方の収入がいきなりゼロになる訳ではなかった、というバックグラウンドがあるから出来た部分も大きいのですが、こと「税務をやる」という立場においては相当なプレッシャーがありました。

ただ、お客様へのサービスという点では数字の分析や定性的な状況から来る情報を使って、役に立つ気付きや提案をして差し上げることであって、申告書作成とかはあくまで事務であり、大きな意味であまり影響が無いだろうとは思っていました。これは監査も同じ。

なので、結構独自に勉強しました。税法とか申告書の作り方はもとより、営業スキル、事務所のスケジュールとかも全て。

いまは税理士一本でひとりで生きています。

まとめ

なんだか、いろいろ脱線してきたので、これにて一旦終了します。

結局、両者の試験の概要みたいな話とかそんな感じでしたね。

肝心の仕事の中身の違いとか書いてないし。まとまってないし。

今後は公認会計士と税理士の仕事や対象となるクライアントの違い、その他経験していることを記録していこうと思います。

磯谷雄大(いそやたかひろ)
書いている人
磯谷 雄大

サウナ税理士・公認会計士。
松戸市在住の35歳。
公認会計士として12年、税理士として7年経過。
主に「設立+創業融資+税務」に特化して創業初期に悩むお客様をサポートしています。
現在は「一人で自由に生きる税理士」として活動中。
事業を継続するため、健康を保つために「筋トレ+サウナ」を習慣としています。
ていうか、これがないと生きていけない。
とにかく業界や常識にとらわれない自由な発想・生き方を日々探しています。
娘が2人、息子が1人。

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