複数銀行から融資を受けるべきか~時には浮気をする決断も必要~

創業融資

事業をしていくうえで重要な「資金繰り」。

すぐに設備投資や運転資金を調達したいときには、借入(融資)が有効です。

融資は銀行から受けることになるため、「借入をする=銀行とのお付き合いをする」ことになります。

このとき疑問に思うことの一つが、「銀行との取引はひとつにすべきか?複数にすべきか?」です。

これについては、ある程度答えは出ています。

スポンサーリンク

借入は複数の銀行から借りよう

結論から入りますが、借入(融資)をするなら、複数の金融機関から借りましょう

これがまず基本になります。

なんで!?

ということで、いくつか理由を挙げていきます。

銀行も複数から借りてほしい理由があるから

例えば、民間の会社同士が商売するときは、「お得意様」や「御贔屓にしているから」という思考が働いたりします。

他の会社と取引をしたら何か悪い、みたいな。

しかし、銀行に関していえば、そういった思考は基本的には働きにくいと考えられます。

むしろ、逆です。

他の金融機関から広く薄く、ないし分散して借りていてくれた方が、都合が良い理由があります。

その理由が、「貸倒リスクの低減(分散)」です。

銀行からすれば、融資先に何を求めているかというと

「約定通りに返済をして、利息をきっちり頂くこと」

です。

融資先が、経営が不安定になって返済できない状況になるのが一番困ります。

このとき、もし1つの銀行からしか借りていないと、返済不能になったときはその銀行がモロに損失を受けてしまいます。

これが、他にいくつかの銀行から借入をしていると、リスケジュール(=返済計画の見直しや緩和策の提案)をお互いしやすくなります。

つまり、会社が潰れて資金を回収できなくなるのは困るので、危なくなった会社を存続させるために、銀行同士が協力して会社の立て直しやサポートをするわけですが、その負担が軽減されたりするのです。

銀行の誰もが会社が潰れたら困るので、協力体制が自然と働きます。

このように、銀行としても、自分以外の銀行がその会社に融資している状況の方が、リスクが分散されるので好まれる傾向にある、といえます。

※ただし一方で、銀行は「融資シェア」というものにこだわります。

融資シェアというのは、その会社の借入金総額に対する自行の貸付比率です。

例えば、1億円借入がある会社に対して、6千万円融資している銀行があれば、その融資シェアは60%ということになります。

この融資シェアが最も高い銀行は、会社に対して交渉を有利に進める立場にできたり、銀行間のイニシアチブにも影響するため、この比率は重要だったりします。

銀行によって融資条件が変わるため

これはどういうことかというと、例えば同じ決算書や試算表を複数の銀行に出して審査を受けた場合、結果が同じとは限らないというものです。

これは融資金額、金利、返済年数、担保の有無などの条件が銀行によって変わるということです。

相見積もりをするような感じにはなりますが、銀行によっては審査で重視する財務比率や項目など、評価するポイントが違うことがあります。

また、驚くことに同じ銀行でも支店によっても結果が変わる可能性もあります。

なので、借入をしたいときは、ひとまず2つ以上の銀行に打診してみましょう。

仮に融資を断られたとしても、それが一概に業績が悪かったり会社が評価されていないからというわけではなく、単にその銀行の評価ポイントとマッチしていないだけの可能性があります。

ある銀行の審査で落ちても、別の銀行で普通に融資が通った、という事例は結構あります。

また、例えば、他県から進出してきた県外店舗・支店は、銀行の政策的な理由で融資に特化して借りやすかったりする場合があったり、地域的・政策的な理由に左右される場合もあります。

永遠に同じ銀行から借りられるとは限らないから

いま取引している(=融資を受けている)銀行だからといって、未来永劫、融資に協力的かというと、そうではありません。銀行にも事情があります。

まず融資が難しくなる状況としては、業績悪化があります。

2期連続欠損や、債務超過に陥った場合など。

これはまあ、危ない会社に貸すのは銀行もイヤなので当然といえば当然かもしれませんが。。

それとは別に、あまり一般には意識されないポイントがあります。

それは融資担当者の異動や支店長の異動です。

なんの話かというと、融資窓口となる担当者や取引銀行の支店のスタンスが変わったときに、いきなり借りにくくなる場合があるということです。

例えば、営業職の経歴の方や若い担当者の方などは、営業ノルマなどの関係もあり融資に積極的になってくれるケース、傾向があるとか。

一方で、審査あがりの方が担当者になると、融資審査が保守的にみられるケースもあるとか。

支店長のスタンス次第で、支店自体が融資に積極的になったり保守的になったりする場合もあるとか。

これはいつでも同じことがいえるかといえばそうでもないですし、いざその時になっても表だって理由を特定しにくい話ですが、担当者の裁量が利くような場合であれば、あながち影響が無いともいえないかも知れません。

そのため、ひとつの銀行に頼っていると、会社の関係のない外部の影響でいつの間にか借りにくい状況になっているリスクがあるので、交渉先を常に選択できるように、借入先は複数の選択肢を持っていた方が良いと思います。

結論

銀行からの借入は、出来るだけ「複数から借りる」というスタンスが正解です。

理由は上記のとおり、会社としても、銀行としても、お互いメリットや事情があるからです。

プライベートで浮気はだめですが、この件に限っては浮気してもいいと思います。

ただし、前述に触れたように、そうはいっても「融資シェア」という考え方があったり、そうはいっても会社と銀行との取引経緯や関係性というものが絡んでくる要素はあるので、複数の銀行とお付き合いするうえでは、バランスも見ていきましょう。

編集後記

今月に入って、会社設立直後のクライアントの創業融資を申請するために、同時に4件分の創業計画書を作成しています。

これをやると会社のビジネスモデルや資金繰りなど全て理解できるので、稼働後のやりとりが会社側・税理士側どちらもスムーズになります。事業の会話も弾みます。分かり合えているので。

融資を受けることで資金的にも余裕が出るので、なんか会社・税理士ともに一石二鳥な気分になります。

今日のトレーニング記録

・ナロープッシュアップ 20reps×2set、10reps×2set

・フル・スクワット 20reps×2set

・フラット・ストレート・レッグレイズ 30reps×3set

・Lホールド 10秒×2set

・フル・ツイスト・ホールド 左右30秒ずつ

磯谷雄大(いそやたかひろ)
書いている人
磯谷 雄大

公認会計士・税理士。
松戸市在住の37歳。
公認会計士として14年、税理士として10年経過。
主に「設立+創業融資+税務」に特化して創業初期に悩むお客様をサポートしています。
現在は「一人で自由に生きる税理士」として活動中。
事業を継続するため、健康を保つために「筋トレ+サウナ」を習慣としています。
あと、よく木更津で釣りしてます。

磯谷 雄大をフォローする
創業融資
スポンサーリンク
磯谷 雄大をフォローする
フリートーク
タイトルとURLをコピーしました