こんにちは、事務所の近所に美味しいラーメン屋を発見した税理士の磯谷です。
ところで、今回は融資審査にまつわる決算書の話。
すでに決算実績のある会社が銀行に融資を申し込むときは、過去の「決算申告書」を提出することになります。
この決算内容が、融資の可否に大きく影響するファクターなのは間違いありません。
出来ることなら、黒字などの「見栄えの良い決算書」を出したいもの。
こんなとき、借入審査の視点でいえば、審査に有利な決算書と不利な決算書というものがあったりします。
中身は同じでも、日々の会計処理の仕方ひとつで、決算書の見た目は変わるものです。
今回はそのうち、「減価償却費」という経費にスポットを当てて、借入審査に有利になるかも知れない決算書の作り方を考えてみます。
※あくまでも、銀行の視点を活用した方法論であって、必ず有利に働くかは保証しかねるところです。あしからず。
融資の審査で重視される「返済原資」を知る
まずは何事も「相手を知ること」が大事だと思う次第です。
融資でいえば、「銀行は決算書のどんなところを見ているのか?」ということを多少は知っておいた方が良いです。
銀行が融資の審査をするときには、決算書の数字を使って、いろんな視点で会社を評価します。
全ては紹介できませんが、そのうち、どこの金融機関も通常考慮するものが、「返済原資」です。
この返済原資というのは、「会社にどれほどの返済能力があるか」を評価するものです。
決算書の損益計算書(P/L)の数字を使って算定するのですが、一般的には以下の式です。
税引き後利益は、1年の営業活動の成果として、最終的に獲得した利益です。
これに、減価償却費というものを足しています。
この返済原資の「式の理解」が、今回の話のポイントなわけです。
先にあるべき方向性を示しておくと
「利益さることながら、この減価償却費を出来るだけ多く計上することが、融資審査においてプラスの評価になりやすい」と考えられるわけなのです。
返済原資を理解するために減価償却をざっくりと説明
ということで、「減価償却費」というのが、今回のポイントになるわけです。
ここで減価償却費という単語の解説を一瞬だけ。
減価償却費というのは、経費項目のひとつです。
例えば車や建物を購入した時に、その時点で全額経費にせず、将来にわたって少しずつ経費にしていくものです。
例えば、クルマを新車で120万で買ったぜ!
という場合は、買った時に120万が即経費になるのではなく、6年間で20万ずつ経費にしていくイメージです。
※定額法で6年に渡って均等に経費化することを前提に考えてます。残存価額とかは全部面倒なので無視してます。
少額の備品や文房具なんかは一発で経費にできますが、上記のようなモノ(固定資産といいます)で金額のある程度大きいものは、先にお金は出ていきますが、経費化するのは将来に向けて少しずつ、という感じです。
なので、この減価償却費というのは「現金支払と経費化されるタイミングが違う(=タイムラグがある)」といった特徴があります。
この特徴が、返済原資の式の構造を理解するポイントになります。
すなわち、「減価償却費は経費だけど、この時点では支払いが無い経費。なので、返済原資という資金力を知る目的では、利益に減価償却費を加えてあげたほうが正しく測定できる」という考え方が出来るわけです。
利益という情報から、キャッシュベースで返済能力を引き直す、というイメージです。
有利な決算書を作るには「少額減価償却資産」を活用する
で、本題です。
ここまでの減価償却費の説明は、返済原資の考え方を説明したいがために少しだけ触れただけです。
今回の「融資に有利な決算書を作る」という意味では、もうひとひねり必要です。
結論としては「少額減価償却資産」という制度を使います。
これは、購入金額が10万円~30万円未満のモノであれば、買った時に全額経費に出来るというものです。
例えばPCとか什器とかです。これが30万円未満のものであれば、一撃で経費に出来ます。
※適用条件がいくつかありますが、紙面の関係上割愛します
ここで、このPCとかの会計処理をどうするか(何の経費項目で処理するか)で内容が変わってくるわけなのです。
以下2パターンで考えます。
②「減価償却費」で経費処理する
①の場合→100+0=100
②の場合→100+30=130
まとめ
編集後記
家から事務所の間に大きい公園があり、その中を通過して徒歩通勤しているのですが、1回横切るたびに、鉄棒で懸垂するというルールにしています。
あと、1歳の息子が最近「ほしい」という単語を覚えました。
何かあげたくなります。